ウサギの飼い主さん
勝手な思いこみですが,ウサギさんの飼い主さんは,とても熱心でけなげな方が多いようです。
頭が傾いてしまう神経疾患を患う,ウサギのくりくりちゃんを支えるSさんもそんな熱心な飼い主さんの一人です。この疾患を患うと自分で食事をとれなくなりますから,飼い主さんが食事を口元に運んであげ,1ヶ月以上にもわたってお薬を飲ませてあげなければなりません。これを飲ませて,食事はこれだけあげてと指示するのはたやすいのですが,実際に行うとなるとそれは大変なものです。なかなか良くならず体重が落ちていくと,不安になり治療もくじけそうになるものです。
幸い,くりくりちゃんはSさんの手厚い看護のおかげで,徐々に症状が和らいでいきました。通院最後の日,ずっと気になっていたことを尋ねました。
「あの、ご予定はいつですか?」
「もう、臨月でいつ生まれてもおかしくないんです」
「生まれる前にくりくりが良くなってほっとしました」
と明るい笑顔で,颯爽と車に乗って帰られました。
日に日に良くなるくりくりちゃんと,日に日に大きくなるSさんのおなか。途中からSさんの方が心配になりましたが,いろんな意味で私もほっとしました。
くりくり,しばらく病気になっちゃダメだよ。