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Uさん宅のカイちゃんは,3歳のコーギー犬。毛艶も栄養状態も素晴らしい,はつらつとした男の子です。
でも実は,カイちゃんが健康でいられるのは,Uさんが毎日欠かさず,お薬を飲ませているからなのです。
カイちゃんは2歳のときに震えるという症状が見られ,精査の結果,副腎皮質機能低下症(アジソン病)であることが分かりました。
アジソン病とは,ホルモンを産生する副腎という臓器が,主に自己免疫により破壊されるために,副腎皮質ホルモンが不足して様々な症状を起こす病気です。
副腎皮質ホルモンは,ストレスに対応したり,血液量を調整したりする重要なホルモンであるため,欠乏すると食欲不振,嘔吐,血便,多尿,乏尿,徐脈,振るえなどの様々な症状をおこし,重度になるとショック状態となり死亡します。
治療法は,唯一足りないホルモンを補充してあげることで,その高価なホルモン剤の投与が適切に行われれば,見た目には健康な子となんらかわりません。
今日もお薬のために来院されたUさん。コーヒー通で,必ず当院のコーヒーを味見してくださいます。
“実は私ね,犬が大嫌いだったんですよ。それで子供が飼い始めたんですけれど,飼ってみると,思い違いに気づきました。食わず嫌いってやつだったんですね。
それでね,いつもじーっと犬が私のこと見てるでしょ。この年になってね,恥ずかしいことしちゃいけないなって,しみじみ思いました。世間じゃとんでもないのが証人喚問で騒がれているけれど,やっぱり人様に見られて恥ずかしいことは,絶対やっちゃいかんですよ。
あれ,説教臭くなっちゃったかな。”
いくつになっても,発見があり,変わってゆけるUさんは,凄い!!
私もそうありたい,強く思った朝でした。